以前、読んだ本に「マネーボール」があります。ベストセラーになった本で映画にもなったのでご存知の方も多いと思います。
オークランド・アスレチックスのGMが低予算でより勝てるチームを作るために、セイバーメトリクス(選手の成績を統計で評価する)を導入して改革していく物語です。
このセイバーメトリクスを提唱したビル・ジェームスに興味を覚えます。
野球のデータおたくの彼は大学卒業後、警備員をしながら、良い選手(勝利に貢献する)の研究をしていきます。ついには研究をまとめた本まで自費出版していきます。(売れませんでしたが)
また彼は野球以外に興味が向かないとも発言し、他の分野(金融等)にその才能を向けることはありません。現在は有名なアナリストになりましたが、しばらくの間、見向きをされませんでした。
マネーボールではドラフトで事前に選手を見ることなく指名する場面がでてきます。
現場のスカウトでは無く、大学の数学科を卒業した専門家がネットに公表されたデータから選手をドラフトしていきます。ドラフト後にスカウトが当該選手をみて驚きます。
異様な投球フォームで通常ならドラフトに掛からないからです。その後この選手が活躍します。
経験豊富なスカウトでも伝統的な考えや先入観があり、活躍する選手の取りこぼしがでてきます。人間の目は当てにならない記述が出てきます。当のオークランド・アスレチックスのGM自身が以前ドラフト1位で入団し全く芽が出なかった選手だったからです。見た目、足の速さ、ホームランバッター、才能は間違いなくあるといわれていた自身が、なぜプロのスカウトが見誤ったのか、身体能力や見栄にどうしても人間は影響されてしまう。
錯覚を排除するにはどうするか、低予算でいい選手が取れないのかということでセイバーメトリクスが導入されました。
野球以外のスポーツにもセイバーメトリクスは広がりを見せています。
サッカーやバスケットボールのような攻守の入れ替わりの激しいスポーツにも導入されており、特にNBA好きの私には派手なプレー以外に様々な切り口を提供してもらい勉強になります。統計分析により戦術の変化(スピード重視・3Pシュート多用)やリング下に居ること多かったセンターまで3Pシュートを打ち出すなどプレースタイルの変化に驚かされます。
高江洲